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私は犬
第3章 【第1章】帰国
でも、苦手でも今はやらねばならないと思う。意を決して、私の発言を待ちくたびれているであろうおば様と孝徳さんに、頭の中でまとめあげたこれらの考えを一気に告げた。



一気に喋りすぎて、酸素が足りなくて、途中、とても息苦しくなったけれども。きちんと伝えられるように頑張ったから、何とか伝わったみたい。



けれど、おば様は眉間に手を当てて、下を向いたまま動かなくなった。


孝徳さんは口の下に手を当てて、時折撫でるように人差し指で顎先を擦りながら、何かを考えている。


どうしましょう。こんな時はどうすべきなの?いくら自問しても、何も考えが浮かばなくて…。


不安な気持ちで、飛び出しそうになるため息を必死に噛み殺していると、「わかりました」と孝徳さんの声が響いた。


「二人の意見の真ん中をとりましょう。」


「「真ん中???」」
と、おば様と私の声が被る。


「そう。真ん中。つまり中庸です。二人の意見を足して2で割りましょう。二人とも少しずつ我慢する事になりますが、良いですね?」


そう念を押されて、思わず頷いてしまった。


「母さんも。良いですね?」と、言質を取るかのような言葉が発せられると


「分かったわ」と、ふて腐れたような声でおば様がお返事なされた。
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