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私は犬
第3章 【第1章】帰国
「これ以上話し合っても、話が纏まるとは思えません。なので、これが最終決定です。わかりましたか?」


ここまで念を押されるなんて、どうしましょう。今さら嫌とは言えないみたいだわ。


ふとおば様に目を向けると、おば様もこちらをご覧になっていらして、


何故か互いに目くばせしあって、ゆっくりと大きく頷きあってしまった。


それを了承の合図と捉えたらしい孝徳さんの口から、ゆっくりと言葉が滑り出す。


その口調は、悠然としながらも、有無を言わせない威厳に満ち溢れていて


今さらながら、この方はやはり凄い方だったと。そう思わずにはいられなかった。



語られた内容は、住まいは信託財産から資金を出して孝徳さんが用意する。


新築ではないので、少し改装が必要だから、その間はここ、九宝(くぼう)邸に身を寄せる。


改装については、意見を可能な限り採用するので、母(おば様)と二人でよく考えるように。その期限は1週間。

1週間を過ぎても決まらない場合、こちらで適当に手を打つから文句は言わない事。


父(康徳おじ様)の会社で働くのが嫌なら、自分(孝徳さん)が在籍している会社で妥協する事。


その場合、仕事は選べず、こき使われる事になる。プライベートは一切持ち込まない、もちろん我が儘や泣き言も受け付けない。
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