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私は犬
第17章 契約
お稽古が終わったら約束通り、音羽さんが車で迎えに来ていた。この車知ってるわ。病気みたいな名前なのよ。肝炎だっけ?アメリアがお誕生日にお父様に買って頂いたやつと同じ。アメリアの車は赤だったけれど、音羽さんのは黒なのね。

「飯どうする?」
何で、この人はいつも食べる事ばかり聞いてくるの?他の話題が無いのかしら?

「私は自宅で頂くから、ご心配いただかなくても結構よ。」

「………。」

あ…。何でそういう顔するの?私が意地悪したみたいな顔しないでよ。もうっ!

「あ、あなたの分も何かあると思うわ。あの……。な、何でも良ければ。」

何でこんな事を口にしているのかしら?

「お前、料理できんの?」

「…………。よそってチンするの…。」

おにぎりと卵焼きとお味噌汁しか作れない。。のはやっぱり不味い?そんな事を考えていたら、あっという間に着いちゃった。

・・・・・・・・・・・・・・

「あー。見てていい?」

私を見張るの?キッチンで?何のために?

「つうか、俺が作っていい?」

「私にだってできるのっ。出てってよっ!」

「ハイハイ…。」

ご飯は冷凍してあるのをチンするの。西京焼きは…。焦げるから手を出すの止めておこう。この、知らないお魚を焼けばいいわ。この煮物もチンね。お漬物を切って、お味噌汁を作って。それから…。

有るものをとりあえずよそって並べてみたら、それっぽくなったから安心した。音羽さんは、残さず全部食べて「お前、何か作ったの?」って聞くから「お味噌汁…。」って白状したら、お味噌汁をお代わりした。何だろう。褒められたみたいでちょっと嬉しい…。


※肝炎=ポルシェのカイエン
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