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私は犬
第21章 赤い紐*
「おば様、いつもありがとう。私、おば様が居て下さって本当に良かった。」

「敬子(としこ)ちゃんの孫は私の孫も同然よ。貴女の姿を見たかったでしょうに…。こんなに大きくなって…。」

そう言うと、涙を浮かべはじめた。ああ。おば様が泣いちゃう…。どうすればいいの?

おばあ様とおば様は同じ歳の従姉妹で、小さな頃から親友で。お嫁にいったのも、子供を産んだのも、ほとんど一緒だったと。そうおば様に聞かされている。

「ごめんなさいね。私がもっと早く気付いていたら。あの時、病院に連れて行っていたら。今頃、生きていたかもしれない…。そう考えると悔しくて悲しいの。」

「それにね、貴女のお母さまの蓉子さんにも、頼まれているし。あなたを見守るのは、後見人として、当然よ。だから何も気にしないで、こうしてお世話させて頂戴。ね?」

おば様はそう仰って下さるけれども。そうなのかな…。その後、お迎えがみえておば様はご帰宅なされた。寂しくなるわって仰っていたけれど、どうされたのかしら?私なら、どこへも行かないのに。

「はーっ美味しかった♪奥様の持ってくるお弁当、楽しみなのよねえ。今日も豪華だった。あの懐石、どこのかしら?あー役得役得。」

「ですよね。確か…。今日のは花がすみさんのだと思います。真子さん、お紅茶、淹れ直しましょうか?冷めてませんか?そろそろアイスティーにでも…。」

あ。いけない。また考え事しているうちに、時間が経ってたみたい。



※花がすみさんが実際にお弁当作っているかは存じません。ごめんなさい
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