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私は犬
第24章 オシッコの穴*
コースを頼むより、こっちの方がいい。好きな物を必要なだけ。

手のひらと同じ大きさのお肉。顔を洗う時のように、両手で作った器の中にいっぱい分のお野菜。片手を器のように軽く丸めた中に乗るだけの炭水化物。人差し指と親指で円を作った中に収まる果物。いつもの外食の目安内で収まってくれて安心した。赤ワインは、これ、炭水化物よね?たぶん。

有史さんは、お肉を食べてからハンバーグを頼んでいた。ハンバーグが好きなのかな?2人でワインをペロリと空けて、昨日も飲んだから今日は我慢。お腹いっぱいにして帰宅した。

帰りのタクシーの中で、『うまかったか?』と聞かれて、私でも安心して食べられる物を探してくれたのかしら…。と、そんな事を思った。なんとなく、そんな風に、ちょっとだけ、感じただけだなんだからねっ。

帰宅すると、臭いが鼻につく。カウンター席だったから目の前で焼いてくれて。臭いが付くのは当たり前だけど、早くさっぱり洗い流したい。

でも……。またセックスする流れになったら……。1日中セックスばかりして過ごすのって、なんだか嫌。

脱衣場で、そんな事を考えていたら、案の定有史さんがやってきた。ちょっとだけ身構えて身体が固くなる。

「そんな顔すんな。何もしないって。」
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