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私は犬
第25章 罪には罰を*

『例えばね、《冷蔵庫にキャビアが無いからオードブルが作れない。》って泣いてみても始まらないの。キャビアが無い事実は消えないんだから。そういう時は、そこにある材料で作れる物を作るしか無いのよ。キャビアが無いなら、自分で工夫してキャビアに負けない美味しいオードブルを作ればいいの。』

『自分に足りない物を数えて泣くより、持っているものを数えて笑いなさい。』

そう、教えてくれた。冷蔵庫から人生哲学。剛ちゃんの人生観は何と云うか、たくましい。

「お待たせ。で、何があったの?話してごらんなさい。」

パウダールームの鏡の前で、べたべたと顔に何かを塗りたくりながら、剛ちゃんがそう聞いてくれるから。色々相談する事にした。

先ずは、営業部での人間関係について。あった事、普段感じている事なんかを、相手が特定されないように注意しながら簡潔に話した。すると、

「あんたに実力が無いから、格下認定されんの。同等に見て欲しかったら、それなりの結果を出しなさい。」

それ、どうやればいいの?やり方教えてよ…。でも、こういう時は聞いても、『自分で考えなさい』って言われるから聞くだけ無駄ね…。

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