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私は犬
第28章 アメリアの夢
火曜日

7時ちょっと過ぎにオフィスに行ってみた。案の定、というか、やっぱり、有史さんは机でスタバの珈琲を飲みながら、何かに目を通していた。ネクタイをしているから、今日は取引先をまわるのだと思う。早く来て正解だったかも知れない。

「おはようございます。今、お時間良いですか?」

「おはよう。早いな……。大丈夫だ。何かあったか?」

うん。家とは微妙に少しだけ対応が違うから、仕事として認識してくれてそうな気がする。よし!

「企画書を書きました。目を通して頂けますか?」

「貸して…。」

手渡すと、黙ってパラパラと目を通している。この沈黙、緊張する…。

「言いたい事は分かった。で、そのスーツケース、もしかして現物?」

「はい…。」

「これと一緒に預かっても、構わないかな?」

「どうぞ。」

馬鹿にされなくて良かった…。今日は服も被ってないし。

「…少し、現場を見てみるか?会議に出たり取引先に同行したり、そういう経験も必要だろ。」

現場?私が?

「中田室長代理には、こちらから話を通しておく。何事も経験だから試してみなさい。」

「はい。お願いします。」

なんだろう。急にどうしちゃったんだろう?
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