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私は犬
第28章 アメリアの夢
こうして、急遽、取引先に同行する事になった。念のため、執務室に戻って、剛ちゃんに外をまわっても大丈夫そうなスーツを見繕って貰って着替えた。

「これ、この間、銀座でオーダーしたスーツ?」

「そうよ。良質なサマーウールだから、見た目より涼しいわよ。でも、蒸し暑いかも知れないから、ストッキングも変えて行きなさい。はい、これ。」

これは、ガーターストッキング!確かに涼しそう。

「ハンカチとティッシュ持った?。手袋は、取引先に入る前に必ず外すのよ?鞄のここに、新しい手袋と、飴ちゃん入れといたから、お腹空いたら食べなさい、それから…。」

「うん。ありがとう。」

正直、飴は要らない…。でも気遣ってくれたから無下には出来ないわ。

「出掛ける前に、ちゃんとトイレ済ませるのよ?」

「……うん。」

剛ちゃんの中で、私は何歳に認定されているのだろう。とても気になる…。

「迷子になったら、すぐにタクシーに乗って、ここまで帰って来なさい。自分1人で歩きまわっちゃ駄目よ?」

だから、分かったってば…。何がそんなに心配なんだろう…。

約束の時間に1階の待ち合わせ場所へ行くと、有史さんも部下の方と一緒に降りて来た所だった。

「じゃあ主任、私はここで。」

「ああ、頼む。悪いな。」
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