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私は犬
第29章 諦めろ*
この次はバッハがいい。お母さまも好きだった、前奏曲とフーガのアレとか、パルティータのアレとか、哀しくならないテンポの良いもの…。

大好きな花のワルツを弾き終えた時、後ろから声がした。

「ただいま。」

びっくりした!何でいつも、忍者みたいにコッソリ帰って来るんだろう…。何でいつも、後ろから抱きついて来るんだろう…。これ、心臓に悪い。

「俺、また出かけなきゃなんない。だから、隣行くぞ。」

「?出かけるなら帰るまで、ここで待ってるわ。」

「いや、それじゃマズイ…。」

何がマズイというのだろう?全然わからない…。仕方なく、有史さんに従って一緒に隣に向かった。

「はい、バンザイ。」

寝室に入ると有史さんは、スーツ姿のまま、私のパジャマをいきなり脱がせて、いつものように胸とウエストに赤い縄をかけ、後ろで両手を拘束した。

「足開いて。」

何が始まるんだろう…。また出かけるんでしょ?なのに、どうして縛るの?足開かせて何をするの?

私の疑問なんか関係無いといわんばかりに、クリトリスを小さくしごいて勃起させると、この間のように根元をキュッと刺繍糸で、この間よりやや軽めに縛った。

右手には、コンドームを被せた偽物おチンコを握っている…。
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