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私は犬
第8章 お仕事です③
始業30分前にオフィスへ行くと、渡辺さんは既にパソコンに向かって作業をしていた。

「おはようございます。」

と告げると、じっと顔を見つめられた。

「ハーっっ」

???

大きなため息が聞こえたので、何だろう?と顔を向けると

「九宝さん、ちょっといい?」と名前を呼ばれた。

「何でしょう?」

「あなたねぇ、新人が先輩より遅く来るなんて、一体何様のつもり?」

昨日、同じ時間に出社した時には渡辺さんは来てなかったのに、急にどうしたのかしら?

「それに、そのメイク。何にも分かってないのね。これだからFランは。」

えーと。とりあえず、朝何時に出社して何をすべきか聞くべきかしら?それから、メイクの何処が悪いのか教えて頂いいて。

「なあにその髪型。外見はご立派だけど中身がFランじゃあねぇ…。」

「申し訳ございません。」

と頭を下げると

「爪」

と低い声で指摘された。爪にはオイル以外何もつけていない。そう告げると、

「だーかーらー。そういう爪は仕事する爪じゃないって言ってんの。意味分かんない?」

申し訳ございませんが、仰る意味が、さっぱり、全く、全然、ちっとも分かりません…。
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