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私は犬
第30章 主導権*
「九宝さん。終わったならきちんと報告してっ!」

あぁそうだった…。細かいな鮎川さん…。

「失礼しました。金井さんに届けてきました。」

「そう。次はこれとこれ、お願い。」

うん。また翻訳。これは何かの取り扱い説明書かな?随分と厚みがあるような…。

「はい。」

お昼休みまだ?
蛙の口に、お金入れたくなってきた…。あの剛ちゃんが好きな、ビスコってやつ美味しいの?

ビスコの味を想像しながら、作業に集中する。集中していれば、笹木さんと池ノ内さんの存在を忘れられる…。

今朝みたいに、池ノ内さんに小さな声で文句を言われても、聞こえない振りができる。

池ノ内さん…スカート丈が短いけど大丈夫なの?


日本の女の子って、路地に立ってる特殊な職業の女性みたいに、ミニスカートとハイヒール履いてる子が目立つけど。誰も何も言わないの?

あと、人前でお化粧や髪を直すのも、特殊な職業の女性の象徴…。また机でお粉はたいてるけど、はしたないからしちゃ駄目よ…。

池ノ内さん、日本を出て今と同じ事してたら、売春婦と間違えられちゃうわ。中東になんて行ったら、確実に性犯罪に巻き込まれる…。

日本が安全な国で良かった…。
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