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私は犬
第8章 お仕事です③
「分ければいいと思うの。その、化粧室だけ別にすれば…。」

心臓がいつもよりドキドキする。

「化粧室はわかった。他は何もない?」

「今はまだ分からないわ。強いて挙げるなら、更衣室が着替えにくいの。ロッカーの幅が狭いように感じるくらいよ。」

「わかった。ありがとう。」

こんな事でお礼を言われてしまうなんて。どうしまょう。

「おっと。申し訳ないが、もう時間が無い。私はこれで失礼するけれど2人はゆっくりして。真子ちゃん、母さんをよろしく。」

時計をチラリと見て、孝徳さんはそう告げて、慌ただしく去って行った。

こんな短時間で残さず食べ終えてしまうなんて!孝徳さんってやっぱり凄いわ!


その後、今度はお芝居に行きましょうとか、著名な楽団が来日するからお誘いするわね。とか、和菓子を頂きながら、時間いっぱいまでおば様となんて事ないお話をして、お別れした。


トイレにこもって歯を磨いていると、「今回新しくなった制服さぁ、なんか可愛いよね〜。」と誰かの声がして

「わざわざ桂木由美に頼んだらしいよ。」と、別の女性の声がした。そうなんだ。あの先生が、この制服をデザインして下さったのね。
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