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私は犬
第32章 我慢の限界*
春木さんや村上さんも起きてきて、4人で今日の予定を確認しながら朝食を摂る。

「ジュネーブから空路でブリュッセルに向かうのね。分かったわ。」

「お土産は昨日、ご自宅に配送いたしました。」

「ありがとう。助かるわ。」

4日もあれば届くだろう。会社へのお土産だけ、手元にあればいい。

「他に何かございますか?」

「何かという程の事じゃないけれど、リビングの大男、何とかして下さる?」

そうお願いすると、春木さん達は顔を見合せて小さなため息を吐いた。

自分の部屋で支度を整える。ついでに不要品を片付ける。ここに大した物は置いていなくて、衣類等の身の回りの物しかない。

来ると連絡をしておくと、テレーザさん達が身の回りの必要な物を新しく用意しておいてくれるから、いつでも手ぶらで来られる。

でも、そろそろお洋服を新しいものと入れ替えないといけないかもしれない。全部、去年のお洋服だもの。剛ちゃんと、そういう打ち合わせもしたかったのに…。

そういえば、改装もするんだった…。

赤い花柄の壁紙…。小さな白いベッド。揃いの勉強机に本棚…。家具も壁紙も、この赤いカーテンも、全部お母さまと選んだもの…。

いくら子供っぽくても、これ等をなくしてしまうのは、やっぱり寂しい気がしてきた…。
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