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私は犬
第33章 さよなら
ふーん。そういうものなの?どうせなら一緒に居る時も、そういう格好で居てくれればいいのに。あ…やっぱり風邪かも。顔、少し赤いし…。夏風邪は、無理して拗らせたら大変だわ。

「ねぇ、風邪かもしれないから、暖かくして早く寝た方がいいわ。少し具合が悪そうだもの。」

「だーかーらー風邪じゃねぇ…。」

何でいつも、会話が噛み合わないのだろう。優しくしてあげるの、面倒くさくなってきた。

「なぁ…他になんか言う事ねぇの?」

言う事?んーっと…。

「お土産は、多分、明日届くと思う。荷物になるから、向こうから送ったの。」

「………。」

あれ?何で変な顔してんの?お腹でも痛いの?

「お前、さっき、暖かくして寝ろって言ったよな。言う事聞いてやるから一緒にこい。」

聞いてやる?何それ。心配して言ってあげたのに、そんな事言うなら、無理して聞いてくれなくても結構よ。

「残念だけど、あなたの命令に従う気は無いわ。重たいからそこを退いて。」

そう告げたとたん、有史さんの目付きが変わった。いつの間に、怖いスイッチ入ったの?

「ったく、いつまで経っても躾の入らねぇ女だな…。いいから来い。」

躾って何よっ。私、犬じゃないんだからねっ。
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