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私は犬
第33章 さよなら
身体が震えるって…。寒いの?まさか、風邪ひいたのかもっ。

「…具合が悪いのなら、お出掛けなんかしてないでベッドで休んでなきゃ。」

そう言いながら、背中をそっと撫でてあげた。病人には優しくしてあげなきゃ。温かくして、風邪薬あったかしら?無ければ薬局へ…。頭の中で、風邪対策のためにやるべき事を考える。

「……誰が具合悪いんだよ。」

あれ?違うの?じゃあ…オバケでも見たの?あれも震えるわよね。怖い映画見ると私もそうなるし。後は…。震える理由をあれこれ思い浮かべていたら、

「はーっ。」

と、有史さんがため息みたいな呼吸をしてから、いきなり顔を上げた。顔を見ると、いつもとあまり変わらないように見える。さっきのはいったい何だったのよ。全く人騒がせな…。

「朝からずっと自分家で仕事してた。」

てっきり、誰かと出掛けていたとばかり思ってたのに、お出掛けしてたんじゃなくて仕事してたんだ。いつものハーパンとTシャツじゃない、その格好で?

「……なんだよ。あんまこっち見んな。」

「家できちんとした格好でいるの、珍しいなと思って…。」

「あー…。1人の時は、ちゃんと着替えてる。じゃないと頭ん中、切り替えらんねぇ。」
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