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私は犬
第10章 お仕事でした
仕事に戻って、平静でいられるか心配したものの、なぜか頭の一部が変な風に冴えていて。夕方まで持ちこたえる事ができた。

べんき、は便器で、汚い水はトイレの中の水だと分かって。

こんな酷い真実を、知らないで過ごしていた昨日までの日々は、今に比べれば穏やかだったと思った。

でも、
知らない幸せ。
知った苦しみ。

一体、どちらがマシなのだろう…。と考えて、考えて…。分からなくなった。


自宅に戻り、身体を洗って洗って洗って洗って。何もせずに、ベッドに潜り込んだ。このまま時間が止まればいいのに。朝なんて来なければいいのに…。





ある日、剛ちゃんに「あんた。ちょっと。」と引き連れられて行った先は、毎月お世話になっているレディースクリニックで。

真知子先生は、私に幾つか質問をして剛ちゃんとコソコソ話し合って。

それから、おじ様とおば様と孝徳さんが家に来て、

「真子ちゃん少し会社をお休みしましょう。」とおば様は仰った。


わたしはまだがんばれるのに。がんばらなければいけないのに。

どうしておやすみしなければならないのかしら?


テレビの天気予報が梅雨明け予想を発表している。

もうすぐなつがくるのね
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