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私は犬
第11章 【第2章】リスタート
「あんたね。今どき、透明マスカラと色つきリップだけで過ごそうだなんて甘いのよ。」

「昭和の人形みたいなその髪型も、いい加減にしなさい。」

「それから、その眼鏡も。いい加減止めなさい。本当に目が悪くなったらどうするのっ。」

「やだっ!返してっ!」

眼鏡は死守した。だって顔見られたくないのよ…。

グイグイと髪の毛をとかし、てきぱきとまとめあげてゆく。

「前髪上げないでっ!」

「………。じゃあ、もうマスクしないって約束しなさい。」

悩むわ…。マスクも眼鏡も必要だもの。

「駄目なの?」

「駄目よ。その手袋外すなら、勘弁してあげるけど。」

「これは絶対絶対だめっっ!」

「じゃあ決まりね。」

何が決まったのかしら?よくわからないわ。と思っていると、剛ちゃんは前髪を上げはじめた。

「ひぃぃぃーっ!」

「ひぃぃぃぃーっじゃないっ!言う事聞きなさい。」

「ひゃああああっ!」

「ひゃああああっっじゃないっ!大人しくしなさい。」

「意地悪しないでっ!」

「意地悪してんのは、あんたでしょっ!いい加減にしなさい。」


私が?私?、誰に意地悪してたの?

戸惑いながら鏡の中の剛ちゃんを見つめると、
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