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私は犬
第11章 【第2章】リスタート
「みんな心配してんのよ。口に出さないだけで。あんたがそのマスクと眼鏡と手袋を、いつか自分で外すだろうって。信じてずっと待ってるのよ。」

「………。」

「あんたはじゅうぶん意地悪よ。悪いと思うなら、どれか1つでも止めなさい。今すぐに。」

「……わかった…マスク…止める。」

「あらそう。分かったわ。でも眼鏡はするのよね。だから前髪はこのまま直さないわ。」

と言うと剛ちゃんは、前髪をスプレーでガッチガチに固めてしまい

「あー疲れた。お茶にしましょ。」

そう言って扉の外へ出て行ってしまった。

私、みんなに意地悪してたんだ。知らなかったわ。


応接室では、中田さんが紅茶を用意して待っていて下さって。

「私もご一緒しても?」

と仰るので、みんなで頂いた。

「給湯室は遠いのに、わざわざ申し訳ありません。」

「いいえ。どういたしまして。あの扉の中がそうですから。遠くはないですよ。」

「へ?」

言われた扉を開けると、中は小さなキッチンだった。

隣にこんな設備があるなんて。ちょっとびっくり。


「パウダールームの隣にはシャワー室もあるのよ。わたしジムの帰りに寄ってここで支度するわ。」
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