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ロイヤル&スレイヴ!
第2章 1.ここが土鈴学園

「手当てとかいっといて消毒液も絆創膏も持ち合わせが無くて。傷口洗うことしかできないんですけど」
腕についた砂や血が、水の勢いでさらさらと流れていく。
「うお、しみるー……っ」
「ごめんなさい、でもこれしとかないと、消毒しても意味無いので……」
タオルに残りの水をしみこませて、傷口の周りに残った血をぬぐいつつ、余計な水と血を吸収していく。
トントン、と軽くたたくとレモンイエローのタオルに血や砂が付着していった。
そうしてあらかたの汚れを取り除いたあとは、タオルと同じ色のハンカチを包帯代わりに腕にくるくると巻いて、完了。
「すっげー……」
「これでよし。あとは保健室に行って、消毒してもらってくださいね」
手当てが終わり顔を上げると、目が合った。
どうしよう、何しゃべろうかななんてちょっと戸惑ってしまう。
「……ねぇ、君。こんな朝早くにどうしたの?どこかの委員会とか生徒会の手伝い?」
男の子の方から話を振ってくれた。
「あ、いえ。私、転入してきたんです。二年生の斎宮 未結です」
「そっか、道理で見かけない顔だと思った。俺、一応この学校の生徒会長で皇城 滝(すめらぎ たき)っていいます。よろしくね」
え、生徒会長!?
なんでもないようにさらりと言ってのけた目の前の男の子(生徒会長ということは先輩になるのかな?)、皇城さんは、屈託の無い笑顔で挨拶してくれた。
転入初日に生徒会長と遭遇することになるなんて、とまたもやテンパりそうになる内心を必死に落ち着かせて、私は頭を下げた。
「こ、こちらこそ、よろしくおねがいします!」
「敬語、いらないよ」
「え?」
「俺も二年生だもん。一年の冬に就任したてのホヤホヤでーす」
そういえば、私のいた前の高校でも、去年の冬に生徒会選挙していた気がするけど……あれ?
「ウチのガッコ、生徒会は完全立候補制なんだ。だから、生徒会は二年も三年も関係ないよ。一年はさすがにいないけど」
「そう、なんだ」

