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ロイヤル&スレイヴ!
第4章 3.ウワサのあのコとあの4人

僕はやることがありますので先に行っててください、と意味深にほほ笑んだ恭介くんを視聴覚室に残して、
あとの4人と私は、本館にあるという生徒会室に向かっていた。
ううん。
正確に言うなら、私は運ばれていた。
「……あ、あの……猛くん。もう歩けるから、降ろして?」
「嫌」
食い気味に答える猛くん。
このやり取り、何回目だろう。
少なくとも、三回は繰り返してる気がする。
でも、何回繰り返しても、帰ってくる言葉はやっぱり同じで。
私は、不可抗力なこの体勢から、猛くんを見上げた。
降ろして、という言葉の通り。私は、今、猛くんにお姫様抱っこされている。
「俺の抱っこじゃ不安?」
寂しそうな、けれど甘えてる風でもある、どこか誘惑的な猛くんが私の顔を覗き込んだ。
グレイカラーの暗髪から覗く碧の瞳が、狡い。
歩くリズムは少しゆっくりめで、抱き抱えられていても振動がほとんどない。
不安なんて何もなかった。
確かに、身体はいまだ本調子じゃなくて、東堂くん達が取り押さえられた後も、なかなか立ち上がれずにいた。
だから、猛くんは動けない私を気づかってくれているっていうのは分かってる。
でもでも!
だからといってお姫様抱っこされている状況を意識しないでいられるか、と言われれば、
それはまた全然別のお話。
私は、しっかり意識してしまっている自分の単純さが悔しくて、黙り込んだ。
「まーまー、未結ちゃん。そんな唇尖がらせないの。大人しく抱っこされときなさいって」
前を歩きつつも私たちのやり取りを聞いていた暁くんが、くるり、と軽快に振り返る。
暁くんは悪戯っ子全開な笑みを浮かべていた。
「滝も猛も責任感じてんのよン。俺たちが不甲斐ないお間抜けナイトコンビだったばっかりに~!って」
「おい、誰がお間抜けナイトだ」
間髪入れずに噛み付く猛くんの眉間にははっきり皺が寄っている。
けれど、暁くんはどこ吹く風。
あっけらかんとしていて笑みを崩さない。

