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ロイヤル&スレイヴ!
第2章 1.ここが土鈴学園




俺は走った。

とにかく走った。
理由は簡単で、捕まるわけにはいかないから。

「滝!」

階段を下りていくと、階段と踊り場をつなぐいかにも死角になりそうな壁があったので、
そこにもたれ息を整えていると、ふと頭上から忌々しい声がした。

げ、っと俺は急いで残りの段を駆け下り、また、走る。

行く先に目星はないが、追っ手を撒くには特別棟はうってつけだ。


無駄に広いこの土鈴学園の敷地は、校舎もとにかく多い。

学年別のクラスが集う学年棟、特別教室ばかりを集めた特別棟、体育館に室内、室外のテニスコートとプール、大講堂、職員室や食堂、購買部が集まる本館に、事務局、

さらにクラブの部室だけを集めたクラブ棟などなど。

新入生は入学後もなかなかすべての棟を把握することは難しく、
いかなる秀才であっても、学園のすべての敷地を把握するには半年はかかるといわれていた。

そんな馬鹿でかい学園を縦横無尽に駆け回ることができる人間はそうそういない。


「いい加減にしてください!しかるべき書類に印を押してくれるだけでいいと何回も言ってるでしょうが!」

忌々しい声の主は意外と足が速く、全速力で逃げる俺と会話が成り立つ程度には追いついてくる。

「その、しかるべき書類に目を通すだけで何日かかると思ってんだよ!」

逃げながら俺は次のルートを模索する。

新学期、加えて朝というのも手伝って人の気配は少ないが、
春休みという長期休暇をはさんでいたせいで、特別棟のあらゆる教室は施錠されていて、逃げ込む部屋がない。

「だから休暇に入る前に目を通しておいてくれとあれほど――」

「うるせっ!新学期早々口やかましいんだよ恭介は!」

半ばヤケになって俺は追いかけてくる男――右近衛 恭介(うこのえ きょうすけ)に向かって、怒鳴る。

「口やかましく言わないと仕事を一向に進めようとしないからです!あなたは生徒会長としての自覚が…」

いい加減走ることにバテてきた俺は、図書室を通過しそのまま廊下にある窓に向かった。

外を確認してみると、立派な木々が並んでいる。


これなら飛び移ることができる。

思い立ったがなんとやら。
自分の口角が上がったのがわかる。

俺は幼少の頃から木登りをたしなんでいたので、建物を伝い渡るのなんてちょちょいのちょいのお手の物だ。

「滝!」
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