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第16章 事件

ゆっくりと噛みしめるように食べた。
もう暗い部屋、まだ身体中がギシギシする。

お、、美味しい、、。
綾子の空腹な胃が ようやく動き出す。
カラカラの体内から 唾液が溢れて来る。

昔 何かで読んだ事がある。

人間が生きて繁栄する為に 絶対必要な三つの欲。

食欲、睡眠欲、性欲。

食べなければ 生きていけない、
寝なければ 死んでしまう、
性欲なければ 子孫が途絶える、

その三つの欲に 神様は 究極の快楽を与えた、と。

誰もが 忘れないよう、
きちんと食べて、寝る。
人生で毎日毎日 何千回 何万回も繰り返される日常の行為。
美味しいから食べる、お腹空くから食べるんじゃなく、
人間の本能に組み込まれた 欲。
気持ちよく寝るのも そう。

美味しい、気持ちいい、は、
誰もが忘れず 望んで行うように 神によって仕組まれた罠。

神か創造主か 何かとてつもない 大きな力で
私達は 生かされている。

SEXも そうだ。

ヒトも動物も 植物も 子孫を繁栄する為に いつの時期からか 誰にも教わらないのに SEXをする。

お手本もないし マニュアルもない。
ただ 時期が来れば くっ付きたい場所がくっ付く。
生態によっては 勝手に生殖する生物もあるが。