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第18章 代償

ただ もう少し強く もう少し優しく、
男であれ 女であれ どの国にどの時代に生まれても、
せめて 自分を守る位の強さを持って 生まれ変わりたい。
絶対に それだけは この魂に刻みたい。

知らないうちに 涙が出ていた。
自分自身の気分の浮き沈みに 全くついて行けない。

隣のお婆さんが 居ない、団地に向かってゆっくり歩いている。子供達も 少し減っているようだ。

雨が、、？
ポツポツ 降ってきた、、。

しばらく空を呆然と 眺める。

そろそろ図書館へ向かおうか、と
国道を またゆっくり歩く。

その時、、
遠くから 聞き覚えの ある 音、。

ぶぉん、、ぶぉん、、。
ぶぉん！

何の音だっけ、、。

あっ、、。

ピタッと横付けされた 白い車。

あ、、、ポルシェ、、。

ゆっくり車の窓がおりる、懐かしい顔が居る。

「探しました、及川さん。」

えっ、、、探して た？
皺だらけのシャツ、ボーイズデニムに ニット帽の綾子。

院長はエンジンかけたまま 降りて来た。
優しく肩を抱いて助手席に乗せる。
細い綾子、頼りない肩、
まるで迷子の老婆のような存在感。
何の力も 抵抗もない。

院長、、。
私、、私、、。

何もないのに涙が溢れる、、。
促されるまま 車に 乗ってしまってる自分、、。

あれだけ 強くと たった今 思ったのに！