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第35章 惚れた女に母の面影を見る男～鬼平犯科帳　猫じゃらしの女～

伊勢次が登楼した時、およねが猫じゃらしという猫の玩具のようなものを

　振って無邪気に遊んでいました。

　　
【ここで画像あり】


　伊左次もそんなおよねを見て、からかったり微笑ましく見つめたり。

　ところが、のどかな光景を台無しにするようなことが起こりました。

　およねの別の馴染み客の卯吉という男がさる盗賊団から盗みに入ろうとする

　商家の蔵の鍵型を取るようにと依頼された。

　その鍵型をおよねに預けたのです。

　卯吉は最初は盗賊団に言い値で鍵型を売るつもりだったが、彼らが

　卯吉の仕事をバカにしたので、腹を立てた。

　もっと金を出せと言い出したので、怒った盗賊たちに捕らえられ、

　滅多打ちにされました。

　その前に彼はおよねに鍵型を預けたのです。

　さあ、大変です。

　伊左次はおよねが別の客を取っている間に、その鍵型を偽物とすりかえた。

　およねはそれとは知らずに受け取りにきた盗賊団の男に偽物を渡してしまう。

　伊左次の知らせを受けた平蔵もいよいよ動き出した。