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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第36章 妻が突然いなくなったら?~時代劇 その木戸を通って より~
なので、ドラマを見る人が好き好きにふさの過去を想像することになります。

 笹の道を通って、その先の木戸を通ったら-

 そのひとことが余計にそれぞれの想像をかきたてるでしょう。

 長い生涯のわずか一年あまりをともに過ごした妻が

 清四郎にとっては永遠の女だったのですね。

 その後、ふさがどのように過ごしたのかも描かれていません。

 もしかしたら、その後も第二の清四郎のような男ができたかもしれない。

 記憶もないままにふらりと誰かの屋敷に立ち寄り、

 つかのまの儚い縁を結び、またある日、ふらりと姿を消した-、

 そんなことを繰り返したのかもしれません。

 あるいは、清四郎の前にも似たようなことがあったのかもしれない。

 見終わった後、正直、もどかしさのようなものが残るばかりです。

 ですが、そのもどかしさを呼ぶ空白が、このドラマのこのドラマたるゆえん

 なのかもしれません。

 このドラマは敢えて見る側に描いていない部分に何があったかを

 考えさせることにより、その作品としての奥行きと

 深さを増すのでしょう。

 なので、見終わった後、生きることは良いなぁとか、清々しいとか

 そういう明るく前向きな気持ちにはなれませんでした。

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