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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第100章 恋愛さえ自由にできない王と王妃~チャン・オクチョン~
その時、粛宗の心に浮かんでいたのはチャン・ヒビンでした。

 王とは恋愛さえも自由にできないもの。

 以前から何となく判ってはいたものの、改めて言葉にしてみると、

 王の座とは何とも孤独なものなのだなと思いました。

 更に、粛宗が金氏の娘を妃に選んだ時、

 心から望む女を迎えたわけではない。

 どちらも悪い方ばかりだから、マシな方を選んだだけ。

 心で思うシーンがあります。

 それはちょっとあんまりな科白。

 妃に迎えられる女性が気の毒です。

 男性というのは、好きでもない女性に対してはここまで薄情になれるものなのか

 と愕然としました。

 後に、この最初の王妃インギョン王妃は王女二人を死産した後、

 二度目のお産で自身も生命を落とします。

 その次に迎えられたのがイニョン王妃です。

 インギョン王妃の哀しい最後が判っているだけに、

 マシな方を選んだだけという粛宗の言葉は残酷に聞こえました。

 愛する女性をめとれない王も気の毒ですが、

 夫に疎まれ続ける妻の方がよほど哀れです。

 政治というのは、こうして多くの眼に見えない犠牲者を生んだことでしょう。

 たとえ豪華な暮らしをしていても、

 王も王妃もこんな結婚生活で幸せなはずはなかったと思います。
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