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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第151章 錦木
今年もまた錦木が紅(くれない)に染まった
確かに哀しいほど見事としか良いようのないつややかな色合いだ
冬も近い晩秋の澄み渡った大気の中で
眩しいほどの赤色が際立っている
今日 廊下に佇み しばし彼(か)の樹を眺めた
父を見送った日もこんな風だったのだろうか
紅蓮の炎のごとく庭を飾る錦木を見つめながら考える
ピィー
百舌の声が頭上高く秋の大気に響き渡った
炎の色を宿した樹がふっと涙の幕に滲んだ
―お父さん、私は今年、あなたが逝ったときと同じ歳になりました。
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