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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第156章 一冊の古書に思うこと~読む、書く、伝える、心と心のつながり~
 そんな自分がまさか古本を買うようになるとは想像もしていなかった。私は活字中毒といえるほどの本好きだ。読む本がないと落ち着かないといえば良いのか、とにかく自宅には常に読書用の本の在庫が何冊かあるようにしている。滅多にないけれど、面白い本のときはのめり込んで、数時間間から一日で読み終えるときもある。
勢い毎月の本代も馬鹿にならず、数人の子どもに出費がかさむ時期には特に厳しいときもあった。
 初めて古書を入手したのは数年前である。古書店に足を運ぶ形ではなく、今までもよく利用するアマゾンでの利用だ。古書でも状態によってグレードがあるらしい。「非常に良い」、「良い」、「可」。業界においてのほぼ共通した等級というかグレード分けはあるのだろうが、複数の古書店で購入してみると、店によってかなり分類の基準も違うことが判る。「良い」でも、「可」程度のところもあるし、逆に「可」でも「良い」の間違いではないかと首を傾げたくなるところもあった。
当然ながら、「可」で「良い」の本が来ればしめたものだし、「良い」状態を買ったはずなのに「可」が届けば落胆もするし、損をしたような気分になる。
ちなみに、ご存じかもしれないが、「可」というのは通読するには支障はないが、ページに書き込みや汚れがある程度、「良い」は古本としての経年劣化はあるものの、書き込みなどない比較的綺麗な状態を指す。
笑われるのを承知で告白するが、古書を買い始めの時期はセージ(ハーブの一種、強い浄化力があるとされている)の乾燥葉を焚いて、本にその煙を当てたりしていた。できるだけ前の持ち主の念を除去したいからだ。だが、そんなことをしていたのはせいぜいが初めの数ヶ月にすぎない。面倒だし、今は古書が届いても浄化などせずに読んでいる。
一週間ほど前、アマゾンで買った古書が届いた。アマゾンに出店しているマーケットプレイスの商品である。節約のためには「可」の本を選べば良いのだけれど、正直、あまりに傷んだ本、見るからに古本は読む気がしない。
なので、「非常に良い」で、購入者評価も良く値段も良心的なところを選んだ。
発送も早く、数日で届いた。手にした現物は商品説明通り、とても良い状態だった。たぶ
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