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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第168章 憧れと恐れと~30年前の後悔と今、私が思うこと~
 つまらない理由だ、何という狭量な人間だ。そんな声が聞こえてきそうだし、自分でもそう思う。自分という人間のあまりの小ささに、当時もやはり自己嫌悪に陥ったものだ。
 そんな時、たまたま私は同居している母にその心境を話した。と、母がこんなことを言ったのだ。
ーそんな風にばかり考えんで、読みたいなら取り寄せて読んでみればええが。仲間同士で作品(該当作掲載同人誌)を買うてあげれば、その人のためや同人会のためにもなるし、あんた自身の勉強にもなるよ。
 極めて健全な思考というか、当たり前的、前向きな考え方だと思った。もしかしたら、母が「書くこと」にはまったく興味がないからこそ言える言葉だったのかもしれない。私も例えば陶芸や絵画など、自分がまったくやらないジャンルなら、素直に見たければ見るし、見たくなければ見なかっただろう。
 けれど、母の性格を考えれば、たとえ自分が書く人間だったとしても、私にアドバイスしたように素直に他の人の優れた作品を手に取ろうとするとも考えられる。
 あまり良い意味ではなく、私は複雑なのかもしれない。もしかしたら、ややこしい人間だとも言い換えられるかもしれないがー。
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