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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第168章 憧れと恐れと~30年前の後悔と今、私が思うこと~
 ただ、あれから気の遠くなるような歳月が経った。私も結婚、妊娠出産、子育てと経験して、多少はー本当に微々たるものだが、少しは精神的に成長はした。
 自分より優れた人を前にして怖れと憧れを感じるのは変わらないとしても、読者として愉しみ、また書き手としても読んで学びたいという向上心をいささかは身につけている。
 また、この作品がどこか必殺仕事人的な要素があるように思えてならない。といえば、作者の方は心外だと言われるかもしれないがー。
 特殊な能力のあるヒロインが悩み迷える者に救い手のを差し伸べるという構図は、まさに私の好きなあの仕事人の世界なのである。
 この世に生きている限り、光と闇があり、晴らせない憎しみも恨みもある。本書は恨みを当人に代わり晴らすというものではないが、やはり、仕事人の世界観だなと感じるものが確かにあるのだ。
 私がこの作品に惹かれる理由は、そこにもあると思う。
 生きていることに救いがあるーと感じさせるような作品が私は好きなのだ。だから、自分自身もそんな風に読者にわずかなりとも、希望や救いを感じて貰えるような作品を描きたいと常々思っている。
 そして、「天にてむすばれし」を読み逃した大昔ともう一つだけ、今の自分が違っているところがある。
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