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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第179章 ムラサキカタバミ~片隅の小さな貴婦人に寄せて~
 去年の秋口からムラサキカタバミを使った新作を書き始め、十ヶ月後の今もまだ鋭意執筆中である。そんな経緯があってか、今年の初夏、庭で彼の花を見つけたときは、躍り上がった。まるで待ちわびた友人に再会したように心が弾んだ。
 今年、私が初めてムラサキカタバミを見つけたのは玄関前、次が数日前、トイレの窓横であった。トイレの窓横側はしょっちゅう通るので、必然的に花を見る機会は多い。
 ある日、この花の押し花を作ってみたいという想いが強く、思わず手を伸ばしかけた。だが、触れる寸前、思いとどまった。
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