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陽炎 ー第二夜ー
第3章 願わくば花の下にて
「お前だって、もうすぐ子が生まれンだ、幸せだろうが!…でもよぅ、いくら買い物まけてくれるったって、やっぱもうすぐてて親になるって男がいつまでも女のカッコってのもどうかと思うぜ?猫ちゃんの為にもさ、まともなカッコぐらいしてやれよ」

「…私は鷺とは違う!私にはこんなことしかできないんだ。…鷺には、私の気持ちはわからないよ…!」

思いの外激しい口調で返され、鷺は面食らった。

「…なんか、あったのか…?」

「私の取り柄と言えばこのぐらいさ。…ねぇ鷺。
鷺は、私が今までどんな仕事してきたか、知ってる?
ヤマの情報をどうやって得ていたか。
一度でも考えたことがある?」

「…ねぇ。」

「忍の姿で屋敷の外からこそこそ嗅ぎまわるだけで、
あんな詳細な情報が手に入るとでも思ってた?」

「……」

「女の姿で屋敷に雇われて入り込み、情報を握ってそうな男に色で仕掛けるんだ。
商家なら番頭や手代、役宅なら家老とか、どこでも重要な情報は大抵男が握ってる。
その情報を引き出すには色で仕掛けるのが一番早いのさ。必要なら身体も使う。」

「…そう…だったのか…」

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