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第1章 最悪な出会いと最低な再会

次にごはんを食べに行ったら、どんな風に進展するかな？なんて二人の今後について話をしていたら、タクシーが私の家の前に着いた。

「ここ？…あの、ちょっと待っててもらえます？」

一ノ瀬さんは、場所を私に確認すると、運転手さんに話し掛け、そのまま私と一緒にタクシーを降りた。

「あの、お金…」

「いいよ、それは。それより、部屋まで送るから。」

そう言って、私の部屋の前まで付いてくる。

「こっ、ここです。あ、あの、わざわざ送って頂いて、ありがとうございました。」

「うん。今日は早く寝なね。あと、電車で大きな声出して、恥ずかしがらせて、悪かった。ごめんね。」

突然の謝罪に驚いて、下げていた頭を上げて、一ノ瀬さんを見た。
目の前には、申し訳なさそうな顔があった。

「思わず声出しちゃったけど、後々考えてみれば、嫌だったかなって。」

そんなこと！
そんな顔をしないでください！
頭を上げてください！
こんな時にちゃんと話せない自分が嫌だ。

「あの！私、あの時、一人じゃなくて…、いっ、一ノ瀬さんがいてくれて良かったです！」

「…ホント？」

「はい。一緒にタクシーで帰ってくれて、助かりました。」

「うん。なら、良かっ…」

「ホントにありがとうございました。」

お礼の言葉と一緒に勢いよく頭を下げた。
上から、少し笑ったような声で『良かった』と聞こえた。

「美怜ちゃんに連絡だけはしなね。」

そう言って、下げっぱなしの頭をポンッと叩かれた。
あまりに一瞬の出来事で、身体が固まることはなかったが、思わず顔を上げた私の顔は絶対に表情が硬い。