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第13章 欲というもの

　
　大海の下半身は早く欲しいと揺れるが、上半身は固まったまま動かない。嫌というほど真摯だと分かった虎之助の告白。どう答えるべきなのか、大海はまだ定まっていなかった。

「……すぐに返事をくれとは言わない。俺がどんな事を考えているのか、受け止めてくれるだけで充分だ」

　腰を押し進めれば、割れ目の中に虎之助自身が少しずつ埋まっていく。そこは熱く、今までになく固い。

「ん……くっ」

　何者にも劣らない立派な決意に貫かれて、平静を保てる女はいない。大海も堪えきれず、腰を浮かせて虎之助を奥まで受け入れた。

　ゆっくりと引けば、名残惜しげに大海の肉襞が絡みつく。思わず唾を飲み込み、際まで引いて一気にまた突き込んだ。

「んあああっ！」

　高い水音と、大海の嬌声が響く。気を良くして抽挿を繰り返せば、大海はかぶりを振って乱れる。

「あ、い……ゃ、も……気持ち、い……!!」

「く……あんまり締めすぎるな、すぐに気をやっちまうだろ」

「だって、駄目っ……」

　快感を制御する事など出来ず、二人は荒く腰を振る。だが重なる唇は、欲に反して優しいものだった。