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戦国ラブドール
第20章 半兵衛は二度死ぬ
「しかし、半兵衛殿にそんなお手間は……」
「あまり部屋に籠もっていては、治る病も治りません。外に出る言い訳に、あなたを使わせてください」
そう言われてしまえば、大海も頷くしかない。半兵衛は穏やかな笑みを見せると、大海の腰に手を回し歩き始めた。
朝早くだけあって、城も屋敷もまだ賑わいはない。だが、侍女の屋敷に近付くにつれて、朝の静かな空気は不穏に変わっていった。
屋敷の入り口で待っていたのは、志麻だった。やけに焦った顔をした志麻は、大海を見つけると駆け出してくる。
「大海さん、あなたどこに行っていたの!!」
「え?」
「志麻、何かあったのですか? 彼女は、私の碁の相手を務めてもらったのです。あまり責めないでいただけますか」
「は、半兵衛様! 実は――」
志麻の話を聞くと、大海はすぐ屋敷の中へ駆け出す。すれ違う人も構わず自分の部屋まで疾走すると、力加減も忘れて襖を開いた。
「小夜っ!」
部屋の隅でうずくまり、別の侍女に宥められても泣き続ける小夜。その肌には何者かに乱暴された跡が残り、美しい黒髪は男の精によって汚されていた。