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戦国ラブドール
第23章 赤壁の戦い
 
 大海を抱き寄せ腕枕すると、吉継は不意に真剣な表情を浮かべる。

「あのさ、黙ってろって言われたけど、これだけは伝えておきたいんだ」

「え……?」

「これから、君にとって色々辛い事が起きる。けれど、何があっても、僕達を信じて」

「辛いって、どういう意味――」

「君が僕達の幸せを願ったように、僕達も君の幸せを祈ってる。その気持ちは、何が起こっても変わらないから」

 吉継は大海の疑問をはぐらかし、口付けで黙らせる。これ以上は聞くなと悟った大海は、抱いた不安を取り除くように吉継へ縋った。

 辛い事と言えば、おそらくは小夜の行方を巡る何かだろう。だが、僕達、という言葉が吉継と誰を指しているのかは分からない。

「――よく、分かんないけど、信じるよ。あんたの事は、そうでなくともずっと信じてる」

「うん、これからも信じてて。君が信じてくれれば、全ては上手くいくから」

 何を意味するのかは分からずとも、吉継の笑みを見れば大海は素直に頷いた。そして抱いた想いを誓うように、今度は大海から口付ける。体はもう繋がっていないが、欠けた穴はずっと吉継に満たされている。不安など、もはや抱く必要はなかった。
 
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