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第24章 赤壁の戦い②

　
　冤罪で友を苦しめた事に、孫六は怒りを覚える。が、ここで小夜を責めたところで、心を閉ざされ事態は悪化するだけ。唇を噛み怒りを飲み込んで、小夜の懺悔を聞き続けた。

「半兵衛さんにそれらしく汚してもらって、市松さんが悪いと言えと指示されました。けれど、すぐ市松さんが潔白であると証明されて、どうしようかと思っていたら……半兵衛さんが、駆け落ちしようと持ち掛けてきたんです」

「それで、部屋から消えたのか。だが、見張りもいた中、内から細工もしていたのに、どうやって？」

「次の日、お姉ちゃんが入ってきたその時……わたし、まだあの部屋にいたんです。押し入れの中に袋があって、その中に隠れていました」

「――なるほど。入って姿が見えず赤い布を見れば、私達は部屋の中ではなく、外を探す。聞いてみれば、簡単なからくりだな」

「後は混乱に生じて、半兵衛さんが私を部屋から連れ出してくださいました。けれど……城を出て、向かった先は、紅天狗の元でした。わたしを賊に引き渡して、半兵衛さんは帰ってしまったんです」

　好いた男に裏切られた悲しみに、小夜は頬を濡らす。すすり泣く声に、孫六は慰めの言葉が見つからなかった。