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第24章 赤壁の戦い②

　
「結局……あの人は秀吉様が憎いだけなんです。わたしも、お姉ちゃんも、秀吉様の鼻を折る道具でしかなかった。猿の矜持をめちゃくちゃにしてやれと紅天狗に語ったあの人は、わたしの方を見ようともしませんでした」

　小夜の話が真実であれば、小夜は加害者であるが被害者でもある。市松に対する罪はあっても、一概に責められそうにはなかった。

「きっと、今も紅天狗にお姉ちゃんを渡そうと、色々手を打っていると思います。どうにかしないと……」

　小夜はそう言うが、半兵衛は秀吉の信頼厚い軍師である。普通ならば、その半兵衛を疑おうと思う者はない。が、孫六はその時、一人の男を思い浮かべた。

「いや、安心しろ。我々の仲間――仲間と呼びたくないくらい気に食わない男だが、半兵衛様を贔屓目に見ず訝しんでいる者がいる。あいつは誰に責められても、意志を曲げ迎合する性ではない。きっと今も、動いているはずだ」

「本当ですか!?」

「ああ、間違いない。だから、きっと紅天狗の思い通りにはならない。お前も、必ず救われる。私も、この身が自由になったら、お前や大海に無体を働いた連中を根こそぎ殴り倒すと誓おう」