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戦国ラブドール
第24章 赤壁の戦い②
 
「なんでこんな事に……とにかく、移動しましょう。怪我を放っておいたら、また具合が悪くなります」

 大海は半兵衛に肩を貸し、近くの部屋まで運ぶ。半兵衛の小姓達も慌てて薬や包帯を持って駆けつけ、治療に当たった。

 幸い、打たれた跡があざになり多少血が出たくらいで、骨に響いてはいないようだった。主人を傷つけられて憤慨する小姓をなだめて帰すと、半兵衛はまだ動揺の隠せない大海の膝に頭を乗せて寝転んだ。

「あの、半兵衛殿……?」

「噂を聞きました。孫六が、大海の膝を独り占めしていると」

 確かに大海は膝枕したが、噂になるほど独り占めされた記憶はない。市松辺りが喚いてるのを聞いたのだろう。半兵衛は下から大海の頬に手を伸ばすと、大海に訊ねた。

「孫六の事が、好きですか?」

「え? は、はい。孫六は立派な武士ですし、弟のように思っています」

「弟ですか。それは良かった」

 半兵衛は気分を良くして笑うが、すぐに厳しい表情へと変わる。

「孫六が、紅天狗に拐かされました」

「えっ!?」

「奴らは孫六を返して欲しければ、あなたをよこせと取引を持ち掛けてきました」
 
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