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戦国ラブドール
第24章 赤壁の戦い②
 
 思い出すのは、吉継の言葉。しかし囮にさせないという心積もりならば、「辛い事が起きる」という言い方が引っ掛かった。

「他の皆は、どう思っているんですか?」

「他の者も、皆吉継に引きずられて反対しています。感情に任せて大義が見えないとは、愚かな事です」

 皆反対しているならば、大海にとってこれ以上辛い事は起きないはずである。ならば、辛くても耐えてくれと言わんばかりの言動はしない気がした。

「紅天狗を捕まえるためには、あなたが必ず必要です。小夜さんのためにも、動いてくれますか」

 吉継の真意は、今一つ分からない。だが、大海が信念に基づいて動いた事ならば、吉継はきっと理解するだろう。向こうが自分を分かっているならば、悩む必要はなかった。

「取引は、いつですか。あたしに行かせてください」

 半兵衛は身を起こすと、大海を抱き締め頬に唇を落とす。

「あなたなら、きっとそう言ってくれると思いました。いいですか、この件は皆反対しています。二人だけの秘密です、取引に応じるとは、誰にも話してはなりませんよ」

 半兵衛の言葉に、大海は頷く。小夜だけでなく、孫六の命も掛かっているのだ。隠し事が苦手でも、今回ばかりは失敗出来なかった。
 
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