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禁断の果実に口づけを
第16章 砂の城

✾✾✾


 「悪いわね。
こんな年末にお忙しい社長さんに時間作って貰って」

 「真雪(まゆき)から一緒に酒が飲みたいなんて言われるのは久し振りだからな。
どんな用事よりも優先するさ」

 「そんな格好良い健に乾杯ね」

 酒の入ったグラスを傾けて、【カチン】と健のグラスを鳴らす真雪。

 「焼き鳥でも頼もうか?それにそば飯も。
お腹が空いたわ」

 「何でも好きなもん頼めよ。
俺と真雪の忘年会だ」

 「ラッキー」

 真雪は店員を呼び、焼き鳥の盛り合わせにそば飯、シーザサラダを頼む。

 頼み終わり、健に真剣な眼差しを向けた。

 「酒でも飲まないとスムーズに話せそうにないからさ」

 「深刻な話か?
まさか、独立したいなんて言うなよ?」

 「……わたしは、WHITECANDYが好きよ。
まだまだ無名のデザイナーだったわたしを引き抜いてくれて、会社の看板デザイナーにしてくれたのは健。
感謝してるの。
会社を立ち上げて社名を決めた時も、わたしの名前に因んで、WHITECANDYと名付けてくれた。
だからね、わたしはWHITECANDYで自分の可愛い子供を沢山生み続けてこれたわ。
健がわたしごと認めてくれたからよ」

 「真雪のデザインには俺が嫉妬する程の才能があるからさ」
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