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禁断の果実に口づけを
第4章 洋子の帰り道、迷い道


 それでも……
楽しい時間は束の間に終わって、店を出た。

 迷惑かけたお詫びに、ここのお会計を済ませる。

 「悪りぃーな」

 「今日のお礼よ」

 暖簾をくぐる前はしっかり歩いていた私。
でも、かなり酔っていた。

 千鳥足になっているのを気づかれない様にするが、上手く歩けてない。

 「駅まで歩けんのかよ?」

 「大丈夫よ!」
と言いながらも、大丈夫じゃない……

そんな私を伸介が支える。

 「大丈夫じゃねーだろ?」

 「大丈夫だって!!」

「洋子は可愛げねーな。
俺ん家に来るか?」

 「な、なに言ってんのよ!
大丈夫よ!」

 「洋子は大丈夫じゃない時に甘えらんないんだよな?
いい加減、可愛くねぇーぞ!」



 そう‥‥
いつも大丈夫じゃない。
大丈夫じゃないのに甘えられない。
捻くれてしまう。
こんな自分が嫌いだった。
どんどん醜くなった。
醜いまま生きてきた。
そんな私に誰もストップを掛けてくれなかった。


 今、私は伸介に支えられて歩いている。

 初めて会った男なのに……
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