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禁断の果実に口づけを
第4章 洋子の帰り道、迷い道

 伸介のアパートまで歩いた。
こんな私でも成り行きに任せてしまう時もある。

 こんな私を襲うなんて物好きも居ないだろう‥‥
哀しいくらい、自分が劣化している事にも気づいてる。
ストレスが溜まると、食べる事で気を紛らわしていた。
みるみるうちに太った。
醜い脂肪のついた身体に出来上がり、『どうしたの?太った?』などと御構い無しの言葉に傷ついた。
昔から、私を知っている人に会うのもイヤになった。
閉じ籠る様な生活を送り、仕事以外は余り外にも出なくなっていた。


 「汚ねーとこだけど、我慢しろよ!」



 そこは、古びたアパートだった。
ひまわり荘なんて今時ね‥‥
いかにも男の一人暮らしって感じ。
ここも昭和臭がプンプン漂う。


『酔ってなかったらここに来てないわよ!』

 なんて、自分都合の言い訳するとこ、
ーーやっぱ可愛げないーー

 酔った初対面の私を泊めてくれるのだから、贅沢なんて言えない。




「洋子、いつまでそこに突っ立ってんだよ?
入れば?」

「あっ、はい……」

 自ら扉を開けてドアの向こう側に入ってしまった。
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