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禁断の果実に口づけを
第6章 洋子の変貌


 そんな洋子の疑惑のパンク事件の翌日に、伊織が大きな契約を持って、営業所に帰ってきた。

 伊織がこの営業所に配属されから、会社から与えられた職域と呼ばれる営業活動一環で、担当する企業を振り分けられる。

 伊織が担当したのは繊維会社。

 主な活動は、その会社のお昼休みなどを利用し、社員にご機嫌を伺いながら保険を勧めたりする。

 飴やお菓子などを保険のパンフレットなどと一緒に添えて、昼休に食堂などに居る社員に声を掛けながら、自分の顔や保険をアピールしてゆく。

 興味を持って貰える様に声を掛けるまで地道な努力も必要だ。

 そこで伊織に大きな契約が取れたのだ。

 たまたま保険に入ろうとしていた新入社員が伊織の勧める保険に入った。

 若いと掛け金も安い為、十分な保証を得られるし、万が一の時は、大きな額の保険金も貰えるので、加入者にも悪くない条件でもあり、会社でも一番に売りたい保険に加入してくれたのだ。


 伊織が縁故以外の成績を上げたのは初めての事。
勿論、朋子も喜んだ。

 多分、伊織と近づきたい為、若い男性ならそれが目当てでもあったのだろう……

 色気作戦とまでは言わないが、伊織ならきっとそんなキッカケで契約を取ってくるんではないかと朋子は十分予想出来ていた。


 「おめでとう!
伊織ちゃん!」

 朋子は伊織を褒めた。

 伊織も嬉しそうにしていた。


 『その調子よ…
伊織ちゃん!
保険は運や実力や知識、経験など様々なものが左右するけど、
伊織ちゃんは美貌が最大の武器なんだから‥‥
その武器を生かさなきゃね‥‥
ねぇ、伊織ちゃん』


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