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エンブレム──奴隷契約編
第11章 エンブレム



「ほう、相談か。ならば教師として聞こうじゃないか」


「ついさっき、私は彼氏にフラれました。正確に言うと、一月前にはもう彼氏の心は私から離れていたようです」


「ふーん。それで?」


「先生、驚かないんですか?」


「ああ、全然驚かないね」

正直、田島に驚きはなかった。
圭介の気持ちが麻美から離れていたのはとっくにお見通しだったからだ。
というより、圭介が本気で麻美を愛していなかった事を田島は見抜いていた。


「なぜですか?なぜ驚かないんですか?」


大きな目で田島を見つめ、麻美は尋ねた。


「圭介はお前を愛してなどいなかった。あいつの言動を見てればそれくらい誰にでもわかる。遅かれ早かれお前達が別れるのは目に見えていたさ」


「私はこの一ヶ月余り、彼のために身を犠牲にしてきました。彼を守るため……、そう自分に言い聞かせてどんな屈辱や苦痛にも耐えてきたんです。それでも彼は私を愛してくれないのですか?」


「お前がフラれた今、それは聞くまでもないだろ」


「じゃあ教えてください。先生はなぜ彼が私を愛してなかったと分かるんですか?」


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