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禁断遊戯~背徳と罪悪の狭間(はざま)で~
第3章 偽り
「……どうしよう」
翌朝、目が覚めると、そこは自分――正確には、悠の部屋。
いつも眠っているベッドの上で、焦燥感に駆られてしまった私は、携帯電話の画面を見ていた。
――わたし……マナーモードにしたままだった。
悠ちゃんから、電話来てたんだ……
私の目に映る、悠からの着信履歴。
時間を見れば、それは、彼と――――。
――なに、してんの……わたし。
悠ちゃん、いるのに……あんな事。
電話に出ないって、最悪だ……
自己嫌悪になりながらも、時計を見ればもう六時。
週の始まりだというのに、気分が重い私は、ベッドから降りて、着替えを始めた。
「!」
着替えを済ませ、鏡の前に立つ私は、ハッと息を飲む。
鏡に映った赤い痕――昨夜、彼に付けられたもの。
――どうやって、隠すの……?
ネックウォーマーなんて、持ってない。
絆創膏なら……大丈夫かな?
ネックウォーマーでその場所を隠すには、あまりにも不自然過ぎる。
絆創膏なら……そう思い、ベッドのそばにある引き出しから、少し大きめのものを一枚取り出した。
「……高校生の時、思い出す。あの時は、出窓にぶつけたんだっけ……やっぱり、注意散漫だな、私」
絆創膏を貼り終えた私は、十数年前――高校生の時の記憶を蘇らせる。
そんな昔の自分に少し笑ってしまった。
それからまもなくして、私は台所に立ち、食事の支度を始める。
彼はまだ部屋から出てこない――もっとも、食事が出来てから、呼び起こすのが日課でもあるから、居なくても当たり前なのだけれど。
「あ……悠ちゃんの分も、作っちゃった。習慣って……怖い」
私と悠は一緒に住んでいる訳ではない。
私自身も仕事をしているし、休みの時だけ、こうして悠の家に来ている。
――まだ、ダメなんだ……わたし。
どうしても、消えない……。
昨日の事で、また……思い出した。
「……過去は過去、だよね。今は……こうしているのが、幸せなんだ」
ブンブンと、首を横に大きく振った私は、彼を起こしに台所を後にした――。