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* 花音’s short story *
第2章 ◆ episode1 ** 広瀬 未緒 × 藍沢 悠斗 編
「藍沢さん、資料の確認お願いします」

「ああ」

彼女から書類を受け取る。


ニコリともせず、その場から離れるのは俺の恋人 ── 広瀬 未緒



クリスマスイブを明日に控え、俺たちは喧嘩中だ。


理由は………些細なこと。なんて言ったら、アイツはまた怒るかもしれないけど。



2日前 ──。

社食で彼女が男と親しげに話しているのを見かけた。

そいつは未緒が以前在籍していた海外事業部の男。



「広瀬のことあんまり苛めないで下さいね」

そう俺に言ったそいつの目を見て分かった。
オトコの勘ってヤツ。



その日の夜 ──。

俺の家で未緒の作ったご飯を食べながら、つい、

「お前さ、あんまり隙見せんなよ」

そう言ってしまったのは、今考えるとしょーもない独占欲だったと思う。


「何のこと?」

首を傾げる彼女に、つい言わなくてもいいことを言ってしまって……

そしたら未緒は「そういう自分だって、受付の女の子と………」

そう言って、口をつぐんでしまった。


「何のことだよ?」

今度は俺が聞く番で………

未緒の話を聞いて「くだらない」と一言。


売り言葉に買い言葉。


「送ってく」という俺の声を無視して、未緒は部屋を出て行った。


ホント、いい歳して何やってんだよって話だよな。
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