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* 花音’s short story *
第2章 ◆ episode1 ** 広瀬 未緒 × 藍沢 悠斗 編






もうじき仕事納めのこの時期は忙しい。

そして夜は夜で、他部署や取引先の忘年会に呼ばれる。


結局、彼女とちゃんと話をする暇もないまま、イブ当日を迎えてしまった。

喧嘩するより前に、イブは俺の部屋で過ごそうと約束していて ──。


なんでだろう。未緒は部屋で待ってるって確信が俺にはあった。



「お帰りなさい」

出迎えた彼女を俺は抱き締めた。


「この間はごめんなさい」

俺の腕の中で謝る彼女。


「俺も、悪かった」

そう言って、唇を重ねるだけのキスをすると、

未緒は俺の頬に手をあてて「冷たい」と言った。


「もっと遅くなるかと思ってました」

「取引先の忘年会呼ばれてたけど、主任が代わってくれた。多分……俺らが喧嘩してるの気付いてたんじゃないかな」

「そうなんですか?主任と唯に謝らなきゃ」


寝室に入ってコートと上着を脱ぐ。

冬の寒い日。家に帰ると灯りがついていて、部屋が温かいってやっぱりいいな。

そんなことを思いながら、リビングへ行くと、キッチンでは未緒が料理をしていた。
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