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恋愛無双ーレンアイムソウー
第3章 レンタル彼氏

仕事が終わって帰宅すると
玄関に見覚えあるパンプスがあった。
スニーカーを脱いでリビングに行くと
天使のように可愛い顔が振り返る。
「お帰りぃ~」
「住人より先にいないでよ」
「いいじゃん別に~」
恵はなぜかキッチンに立ち
夕食の準備をしていた。
「何してんの。ご飯は食べないで
待ち合わせするんでしょ?」
「そーだよ。これは結子パパの分」
「お父さん?」
結子が首を傾げると
父親がリビングにやってきた。
どうやら入浴していたらしい。
スウェット姿だ。
「めぐちゃんは良い嫁さんになるよ~
料理上手で旨いからねえ」
「へーへー。私は料理出来ませんよっと」
「結子、料理の基礎位は将来の為にも
出来た方が良いんじゃないか?」
「私のこの料理に対する意欲を
燃え上がらせてくれる様な人と出会えたら
話は違うわよ、きっと」
「あーあ。屁理屈な娘を持つと
親は大変なんだよ。はあ…」
父親が大げさに溜め息を吐く。
「結子パパ、結子だって
やるときゃやるわよ。
今日だって将来の旦那候補を
探しに行くんだから」
「そうか。めぐちゃん頼んだよ!」
コンロの火を止めた恵が
誤解を招く事を言っている。
ーーーまたそんな事言って…
それはあんたでしょーよ。
恵の男漁りという"癖"を知ってるが
父親の手前、それは言えない。
「結子は早く準備して。
もうすぐ出る時間になるよ~
あれ?結子パパ、髭剃ってる~!」
「あ、気付いた?この前めぐちゃんが
似合わないって言ったからさ
思いきって剃っちゃったよぉ~」
ーーーおーい、キモいぞー。
親の甘えた声なんて聞きたくねーよー。
耳の穴に指で栓をしながら部屋へ向かう。
服を選ぶのに迷う事はない。
恵と蘭が既に選んでくれている。
それでもやっぱり抵抗感があるのは
着飾ってる自分が好きになれないから。
彼氏に喜んでもらおうと無理して
可愛い彼女を演じてた自分を思い出して
気分が落ちてしまうから。
ーーー今日のはそこまでだけど。
カーテンレールに掛けられたのは
藍色の落ち着いた雰囲気のワンピース。
上にコートを羽織れば
恵曰く、簡単にモテコーデの完成とか。
「結子ー準備出来たー?」
「すぐ行くー」
取り敢えず今日を乗り切ろう!
そう決意して結子は家を出た。

