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星の島で恋をした【完結】
第23章 《二十三》
 それで服を脱がされただけではなく、さらにあちこちを触られるという状況だったのかと分かったのだが……。



「セルマがアステリ持ちってのは、すぐに分かった。俺は星を護る一族の者としてセルマを護らなければと思った」
「それはユルヤナの一族の使命として?」


 セルマの質問にリクハルドは少しだけ目を伏せ、それから視線を真っ直ぐに向けてきた。



「最初はそうだった」
「……………………」


 分かりきっていた答えを聞いて、セルマはずきりと心が痛んだのが分かった。

 その心の痛みにセルマは自問する。

 どうして今、ずきりと心が痛んだのだろう。最初から好きだったと言われたかったのだろうか。

 そう考えて、違うとすぐに分かった。

 セルマのリクハルドに対する第一印象は、好きとか嫌いとか以前に、その見た目から星の化身かと思い、そんな感情を飛び越したものだった。

 対するリクハルドはセルマを一目見て、心乱されたから攻撃してきたという。

 だけどその後すぐに自分が護らなければならない対象であると気がつき、態度を軟化させた。

 そこに好きという感情はなく、一族の使命としての態度を感じたから心が痛んだ。



 そしてその軟化した態度に接して、セルマはいつの間にかリクハルドに恋をしていた。

 リクハルドの態度が軟化した理由が護らなければならない対象であったからであって、好意があったからではないことにセルマの心は傷ついた。



 それを勘違いしてセルマはリクハルドに恋をした。



「……ふふっ」


 セルマは自分の勘違いに気がつき、自嘲気味に笑った。

 リクハルドの優しさは一族としての使命。そこにリクハルドの感情はない。

 リクハルドが優しいのは護らなければいけない対象だからだ。

 それをリクハルドもセルマのことが好きだなんて思ってしまった。

 今まで、好きな人などいなかった。想われることもなかった。

 だから最初はともかく、リクハルドに優しくされて、セルマは勘違いをしてしまった。

 義務の優しさを好きだからという気持ちに取り違えて、セルマはリクハルドに恋をしてしまった。



「……馬鹿みたい」
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